23回目のなら燈花会
今年もまた、なら燈花会はいつもどおりには開催できませんでした。
Withコロナの考え方で入念な準備を進めていたにもかかわらず。
なら燈花会の会では今年こそ来場者のあるなら燈花会を開催したいと、会場は春日野園地会場一会場のみ、十分な距離を保てる人数計画、事前登録制、会員の健康管理などなど昨年来の知見を活かして考えうる限りの対処を施していました。
しかしながら想定を軽く超える第五波の到来に奈良市独自の緊急警戒警報が8月5日から発せられるとの知らせが開催三日前に飛び込んできて事態は急転直下、観覧停止の決断を止む無くされました。
「燈花会の火は絶やさない」
このことは有事以前から燈花会の会の目標とするところでした。
奈良という地にいれば「歴史の断絶のないこと」の事例は数多あり、百年続く祭となりたいと常々標榜している燈花会の会は奈良公園の三社寺の伝統から「持続可能な形」について学び続けてきたからです。
世界的パンデミックの中でなら燈花会の会が下した決断は「中止ではなく、観覧の断念」でありました。
春日大社、東大寺、興福寺から火を分けていただき今年最初の燈花会の火を灯す火入れ式はいつも通りに催行されました。
ご来賓の皆様から賜るお言葉の一つ一つ、長きにわたる奈良の歴史から学ぶべきことの多いことを改めて確認させていただくとともになら燈花会に対するお心寄せが感ぜられて大変ありがたいことでした。今年の火入れ式の様子はなら燈花会の会公式youtubeでご覧いただくことができます。
こうして23回目のなら燈花会は無事にその火をつなぐことができました。
そして、今年も8月5日からの十日間は「#おうちで燈花会」の出番でした。ホテル尾花でもフロントスタッフが雨風に苦労する日もありながら玄関で絶やさず火を灯し続けてくれました。SNSなどでもたくさんの方々が火を灯しておられる様子が見受けられました。奈良公園だけではなく、広く日本各地で燈花会の火が灯ったのです。
報道では「中止」の文字が躍っておりましたが、それは誤りです。
なら燈花会を思い、なら燈花会の様式で8月に火を灯した人々はたくさんおられたのです。中止なんかではありません。
今年もなら燈花会の火は絶えませんでした。
むしろ、広がったのかもしれません。