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尾花deキネマ7月『大佛さまと子供たち』『雄呂血』

7月看板

いよいよ明日から尾花deキネマ7月上映会です。
「大佛さまと子供たち」「雄呂血」
それぞれ過去3回ずつくらい上映会をしてまいりましたが、何回見ても新たな感動がございますね。
「大佛さまと子どもたち」は戦後80年の今年どうしても上映したかったのです。奈良の町がこれほど多くの戦災孤児たちを育んでいた時代がすぐそばにあったのです。知っておかなくてはならない歴史だと思います。昭和27年の作品ですがその撮影には一年をかけたと聞きます。戦災孤児たちが奈良で観光ガイドをして暮らしている様子が描かれます。彼らが小さなメモ帳に鉛筆で書き付けた観光ガイドの文章の美しく立派なこと、神仏に対する敬意を態度で示していること、文化財保護の気持ちがあること、全てなんて素晴らしいのでしょう。奈良で観光に携わる者としては姿勢を糾されている気がして背筋が伸びる思いです。そして案内されている観光客の静かなことや、地元の人々が熱心に祈りを捧げている姿、いちいち眩しくてたまりません。戦後焼け野原となった日本で、見事にその堂宇を残した奈良の景色を復員した人々がどんな思いで見て回っていたか、その心情も垣間見えます。
奈良で観光に携わる人々には必ず見ていただきたいとつねづね思っております。
「雄呂血」4Kデジタル修復版。ちょうど100年前の作品が非常に美しい状態と新発見の場面を供なって戻って参りました。100年前の奈良の光景がより一層鮮明にご覧いただけます。着物の柄も表情も背景の奥行きも過去に上映したものとは全く違います。当時23歳の阪妻が新しいシャシンを作るのだと意気込んだ情熱もまた一層迫ってくるようです。100年前にこの剣戟があったからその先に私の大好きなあの作品もこの作品もあるのだと思うと誠に神々しく見えてきます。テレビでご覧になった方もあるかとは思いますがぜひスクリーンでご一緒に目撃して頂ければ幸いです!

尾花deキネマ

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